接   木



3.袖接ぎを成功させる為には

袖ケ浦接ぎの質問が多いので、画像を使って台木の状態など実際起こりうる問題などを順次アップしていこうと思っています


1)盛んに生長 しています。刺も親の刺です。
この状態であれば実生接ぎに最適です。カキ仔接ぎには向きません。
この状態の苗は、台木の稜を落としてすぐに接木した方が良いと思います。これだけ生長が良いと稜を落として太陽光線を当てると生長点部分が日焼けすることがあります。
糸掛けをする場合、接木後2〜3日で糸を外さないと穂が食い込んでしまいます。

2)生長が一段落しかけた状態です。
刺もまだ親の刺ではありません。
この状態で接ぐ場合は、小さな実生苗かカキ仔小苗を接ぐのに適しています

3)これは植え替え後、生長直前のものです。
こういう状態では、実生接ぎや置き接ぎには適しません
この状態では絶対に雨天に接木してはいけません。(1)のような状態であれば、雨天でも大丈夫です。

4)(2)の稜を落としたところ。
刺座1つ分くらいを斜めに落としておきます。
これは前日に稜を落としておいたものです。切口が変色していれば接木はしません。

5)まず上部を接ぎ穂の切断面が小さくなるように、水平に切ります。
この場合、生長点から5ミリほど切っています。
よく見れば少し切断面がへこんでいるのがわかります。

6)接ぎ穂も接ぎ位置より少し下を水平に切り、周りの皮を削ぎ落とします。
ティッシュで軽く水分を拭き取ります。

7)台木、穂木ともに、1〜2ミリ切り直し、余分な水分を軽く拭き取り切断面を合わします。
このときに少し穂を動かして、すわりのよい位置に持っていきます。
ポイントは切断面が少しだけ穂の方が大きくなるように切ればベストです。

8)伸縮包帯で軽く固定した状態です。
穂がカキ仔(2.5cm)ですので、このままでは活着は難しいです。実生苗であればこれでO.K.です。

9)軽く全体に糸掛けをしたところです。
ポイントは全体に均一にかかるようにすることと、一番上のアレオレに糸を掛けないことです。
この状態の接木では、2cmほど台が伸びますので、一番上のアレオレに糸を掛けると穂が傾いてしまいます 。 

10)接木5日後の姿。
手前の稜の斜めにかかっている糸を御覧ください。
既に食い込みが始まっています。
この状態になれば、伸縮性の無い糸は早急に外す必要があります。

11)糸を外したところです。
生長はしていませんが、活着したことをうかがわせる穂の張りがみられます。
置き接ぎで台木の上部を切ることの有利性がわかると思います。
台木も既に切り口が張ってきて、ひび割れが見られます。

12)強光を避けるために軽く遮光をしておきます。

13)この台は春に実生接ぎして、穂を虫に食べられたものですが、少し大きめのカキ仔(3cm)をついでみます。
こういう台に接ぐ場合は、晴天の午前中がベストです。

14)上部1cmほどを水平に切ったところです。
すぐに中央部がへこんできます。
ポイントは芯が日焼けしていないところまで切ることです。

15)稜と谷間を斜めに落とし、切断面が円に近くなるように落としたところです。

16)(15)の状態では、ネバネバの樹液が出ていますので、粘りがなくなるまでしっかり水分を拭き取ったところです。
これは非常に大事です。

17)同じ様に処理した穂を乗せます。
画像でお分かりのように、台木の外皮に当たらないようにする事が必要です。
これくらい大きな穂でしたら、もう少し台木を下の方で切った方が良いかもしれません。

18)変則接ぎです。
烏羽玉を縦に切って接ぎました。
エキノセレウスやロホホラなど肉質の柔らかいものは稜を削ぎ落とす必要はありません。糸掛けなどの作業はすべて同じです。

19)こちらも同じく接木5日目の状態です。
台木を大きく切る接ぎ方では糸がゆるんでいるのがわかります。
こういう状態にならないように、伸縮性のある糸や包帯を使用するのです。

20)糸を外してみたところです。
台木の張りもあまり良くないです。
穂も良い状態ではありません。
接着面もわずかながら隙間が出来、少し黒ずんでいる部分があります。
これは接木後すぐの雨で切り口を濡らしてしまった管理ミスです。

21)伸縮包帯だけで、割り接ぎをしたものも台木、穂木ともに膨らんできています。
切り口の上がりもよく出来ています。
このように柔らかい穂は接木作業は比較的簡単です。

22)接木3週間後。
置き接ぎの威力を発揮して猛烈に生長を開始しています。
この状態になれば頭から水を掛けても大丈夫です。

23)接木後すぐに切り口に雨水がかかった為、活着しなかったもの。
切り口の周りが黒くなっているのが確認できます。
穂も日に焼けて脱水状態になっています。

24)穂をはがしたところです。
前面に黒い膜が張っています。
この張り方から考えられるのは、単に水がかかっただけの問題ではないです。
反省点はもう少し髄が硬くなるところまで切れば(髄の没落を防ぐ為)、一部だけでも着いていたかもしれません。
それともう少し台木の周りを大きく削ぎ落としていた方が、この場合は良かったと思います。




(2003/09/03記事追加)
(2003/08/24記事追加)
(2003/08/06)